IPS-300 再修理


2017/5/14

”異音が出て出力電圧が134Vとなってしまった” 東京都 K 様 再修理依頼
昨年9月に修理したもので又壊れた様だ
差動出力が電源電圧まで振り切って飽和している 



とにかくメンテ性の悪い構造 基板信号を追うには放熱器を本体から外す必要がある
回路図等の資料は無いのでとりあえず半導体類を調べてみたが不良は見当たらない
OPアンプ、4049はICソケットにして交換してみても変らず
ケミコンを外して調べると5個が1/2以下に低下していたのでその他も交換してみても変化無し
症状的にはNFBが外れオープンループとなりゲイン過大の様に思えるが…良く分からない



何のSWか分からないがスライドSWは接点復活剤で中はベトベト 4回路の内1回路が導通無し
全部で3個のスライドSWがあるので3個共掃除



基板ハンダ面はフラックスがコッテリ 埃と絡み汚いのでまずフラックスを洗い流す



マイカにシリコンを塗ると何回も基板を取り外しての見直しが面倒になるのでシリコンシートにして仮組み



多くVRが並んでいるが名称は無くVR番号のみ 以前メンテした人?のVR位置マーキングが色々残っている 闇雲に触ってもダメなので面倒だが基板の回路図を起こすことにした
パターン面写真をプリントして部品を書き込み図面にしていく 接点の導通が無かったスライドSWは他機種用又は動作モード切替の様で正にNFB切り替えが絡む箇所だった
50/60Hz発振回路はウィーンブリッジで各VRの意味は納得 f 調整VRとアンプゲインVRからなり相関調整が悪いと発振停止になったりf ズレが起きる リニアアンプは通常のオーディオパワーアンプと変らないFET差動入力構成で保護回路は付加されているが特に変ったものでは無い様に思う VRマーキングは消して回路に沿って調整




発振部を調整して動作させるとLED点滅と同期して序じょに出力がsin波形になり正常になった様だ
周波数は50HZ/60Hzに調整出来た マスタ、スレーブのバランス回路があり出力トランスに直流が流れて磁気飽和しないように制御している様だ
資料が無い場合 調整は回路図がないと動作が分からず勘だけではお手上げ 本機の場合ボリュウムのある所は追ったが全回路を追う根気が無くなり本当の調整値は不明




基板は動作しているので出力トランスを接続 出力電圧の調整 約103Vとしておく(オシロ波形は約290Vp-p) 50Hz/60H切り替えで1V程変化するが調整が微妙で周波数との兼ね合い ウィーンブリッジ波形歪と発振安定性もありもありこの辺で妥協 
アナログ発振回路では周波数が経年変化で変動する為シンクロナスモータを使用した回転機器の電源に本機を使用するのは不向きと思われる

動作テストで4日間程コンポの電源として毎日CDを2枚再生してみる 二日目に一度CD2枚目で赤アラームは点灯しなかったが緑点滅になり一時停止した 原因は不明 過電流、過熱などが考えられるがコンポなので100Wも消費していないと思われパワー段放熱器はそれなりに熱くなっていたがドライバー段は一段と熱い ちょっと流し過ぎと思うがこれが設計値か?PIONEER M-25の放熱器はもっと熱いが…
オーディオ用東芝プロテクトICが使われているがこれが動作したらしい?
再度オフセット調整 その後は動作しているが不安が残る

        60Hz                    50Hz






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