AU-D907X オーバーホール5


2019/12/27

左右どちらも同じようなドリフトをするがふらつきの多いLchから調べてみる 動作させながら信号がほぼ追えない構造なので半導体を全て外して調べてみる


バリスタも外してVFを測ってみた 大きい方はサンケンのシリコンバリスタSV-04YSでデータシートでは1mAで2.35V±0.2Vとなっている
ダイオード4シリーズ品 流した電流は少なめなので電圧は低いはず それでも規格内で多少のばらつきはあるが特に問題無さそう 小さい方は型名不明 MV103? 3シリーズ品で1.8V前後のはず 良く揃っている
差動対のトランジスタも確認 hfeを見る限り多少のアンバランスは有るが問題有るようには思えないが…
(注:温度補償用シリコンバリスタは保護素子のセラミックバリスタとは異なるので念のため 同じバリスタと呼ばれるので混同しがちで今では温度補償用は殆ど見かけなくなった)


トランジスタを外している時ふと抵抗の足を見るとハンダクラックが…1/4W抵抗で発熱する所ではないと思い再ハンダしていなかった 之がふらつきの原因?
ドリフトはなぜ起きるのか? 試しにLchの2SC1845と2SA992,2SC2705と2SA1145はhfeをある程度揃えたものに交換してみる 余り期待出来ないが
初段差動アンプのバリスタはパラに入るコンデンサ空きパターン側に付けて近くなる様実装 バリスタ位置には気休めのフィルムコンを実装


Rch側基板を見ているとまずい状態が…ベース基板のゼナーアノードのリードに縦基板のリードが当たってはいないようだが今にも当たりそう 当たっていれば動作しないはず アノード側はGNDで運が悪いと焼損
縦基板側リードを曲げておく


Lch差動アンプ基板を戻して確認 残念ながら症状は変わらず 相変わらずフラフラしている
パワーアンプには罪は無さそう プリアンプと直結になっているので もしやプリ側の問題か?通常パワーアンプのゲンインは凡そ30dBは有るはずなのでプリで10mVズレればは0.3V以上出力はズレる事になる プリのゼロ調は取ったはずだがレコーダで電源投入時からの波形を取ってみた
パワーアンプ入力 SP出力を左右同時に測定 Xバランスアンプでは入力間絶縁タイプのレコーダが役に立つ (決して非絶縁タイプのオシロなどで左右COLDをつながない事)
波形上がRch,Lch入力 10mV/div 下がSP出力 100mV/div 10s/div
プリ入力が拡大され出力されている 30倍に拡大されるプリのドリフトを押さえるのは至難の業なのでは?ロードリフトやゼロドリフト オペアンプ並みの性能が要求される 通常のアンプではC結合になっているが…
電源再投入でプリ出力はなかなか1mV以内にならない プリ用電源±32Vの電圧も多少ドリフトしている 厄介な事になってきた
AU-α707iを久しぶりに電源をいれてみたが電源投入直後から5mV以内に収まっている この差は何なのだろう 回路的問題?αシリーズ以降は6連ボリュウムとなっているので此れも関係ありそう…
再度ばらして電源基板 プリアンプ基板を外す



回路図は無いのでプリの回路を追ってみた 疑問だったパワーアンプ初段のHOTとCOLDの負帰還定数の違いはプリ側出力シリーズ抵抗(680Ω+120Ω)の存在で納得 プリ初段ペアFETとペアTrを交換して基板単体で動作確認
ある程度温まった状態で電源再投入すると5〜7.5mVから始まり2分程でゼロに近づく (レコーダは5mV/div 10s/div)
電源電圧変動の影響は1V変化でも数mVの出力変化なので電源の0.1V程度のドリフトは影響無さそう オペアンプのPSRRは120dB程が当たり前なのでディスクリート簡易回路でもそれなりの安定度
多少良くなったようにも思うが傾向は変わらず 普段OPAMPに慣れ過ぎてディスクリートで差動回路を組む事が無くなりドリフト対策の知識不足を実感 無駄な抵抗とこれ以上は諦め再組立て
電源投入時に0.4Vが8ΩSPに印加されたとしてもSPにとっては0.02Wにすぎないので大した事は無いが…
ドリフトが本機だけの現象か?AU-D907Xをお持ちの方の電源投入から30分以上経過までのDCオフセット情報を聴いてみたいものだ



改めてじっくり聞いてみた 初めの印象程悪くない
高域はクリア もう少し低域が出てくれると良いのだが トーンのBassを少し上げると4312とは相性が良くなる
毎日通電すればこなれて良くなるかも




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